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「お客様の理想、希望」と「最適なUI」と...

「クライアントに振り回されるWebデザイナーに共通した、たった一つの特徴」という記事

http://d.hatena.ne.jp/rk611/20130401/p1
こちらの記事ではクライアントに振り回されるWEBデザイナーという切り口で書かれています。
「フィードバック指示を額面通りに受け取ってしまう」というのは、デザインをする上でも、アートディレクションをする上でも絶対避けるべきことだと思っています。この記事に書かれているように、

"これは映画を観て良かった悪かったは誰にでも評価できるが、その映画をどのように修正したらよりよくなるかは経験を積んだ者にしかわからない、というのと同じことです。
にもかかわらず、「ここのボタンを赤くしてください」、「背景をグレーにしてください」という指示を額面通りに受け止めてそのまま修正してしまうのは、素人にデザインさせているのと同じことです。"

というのは非常にうなづけることです。

デザインとUIと

デザインはアートと違いますね。
デザインはそれを表示するメディアやデバイスなどの制約条件があったり要求される機能があったり、もちろん、予算や納期が付いて回ります。どんなに美しくカッコいいフォーミュラカーであったとしても、「カッコイイが故に遅い」というデザインはあり得ないわけです(まあ、機能を追求していくと必然的に美しくなるということも言えるんでしょうけど)。

で、ウェブデザインやアプリのデザインにおけるUIの設計なんです。
「今回はお客様の希望通りにするのは必ずしも妥当ではない」思っている次第です。
いや、何も、「ウチの言っていることが100%正しくって、お客様の言うことが間違っている。」というわけではないのです。

お取引のあるお客さまはご存じなわけですが、弊社ではデザインやクリエイティブはやりません。
従って、言われたとおりに作るのが基本で、わが社のお客さまは制作会社だったり、デザイン会社だったりします。
つまり、UIとかデザインを握っているのは我々ではなく、我々の直接のお客さま。我々は下請けに徹するわけです。
なので当然、その向こう側に元の発注者であるお客さまがあるわけです。

そのお客様のお客さま(ああ、なんだかわかりにくいな。なんて言うか、「エンドクライアント」か、そうしよう)から、来た修正依頼があるんですけど、それをディレクションをしているお客さまから(仮にディレクターとしておきましょう)「先方の希望はこうなのですが、こういう風にできますか」という問い合わせを受けました。
ただ、現在作っているものは細かいデザインは抜きにして「こういったUIがいいですよ。なぜならば・・・」ということで、こちらから提案させてもらったものなのです。なんで提案したかっていうと「どうしましょうか?」って聞かれたからなんですけどね。

で、この「なぜならば・・・」というのが、エンドクライアントにちゃんと届いているのか?エンドクライアントの要求の妥当性はどうかディレクターがちゃんと判断しているのか、それがよくわからないというか、エンドクライアントの要求と我々が考えているものとをきちんと比較して検証しているのかな(もうここまで来ると愚痴に近いな)、と。。。

でもってデザインのムズカシさ

ココまで書いておいてあれなんですけど、エンドクライアントの希望というのがダメなのかというとそうではないんです。
こちらの提案と比べるといいところもあるんです。
ただ、我々は作っている以上「触っている」わけで、それもエンドユーザー、つまりそのサイトなりアプリなりを実際に使う人の数百倍使っているんです。動作確認やパフォーマンスの検証の必要がありますから。 あまりにも使い慣れてしまって、ユーザーの感覚がなくなっちゃうみたいなこともあるかもしれないですけど、そうやっていると、例えばタブレットを持った時の指の置き場とか、両手を使ったときの操作感とか、ファーストビューに要素を納めたいとか、そういうことろに「見た感じのデザイン」だけでは拾いきれない「何か」があるんです。

今、改めてエンドクライアントの希望も反映させたうえで、デザインを起こしてもらっていますが、どのようなデザインになるのか、非常に楽しみです。「おっ、こうおいでなすったか!さすがだねぇ。。」というデザインがくると、作っている我々も気合の入り方が実は違います。

それと、こういったことは結構あります。
結局、言われたとおりにすることも多いです。下請けに徹するとは言いつつも、むしろ下請けであるがゆえに、だからと言って、必要な提案をしなくなったら、プロの仕事ではなくなってしまいます。